自己責任?負け組?

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自己責任とは、自身の行動による利益も損失も自身が負うこと。

今回は考え方のお話。

近頃の社会状況はネットでの情報収集が多いのですが、なかなかみなさん辛辣な言葉を並べる節があるよね。
やれ貧困は自己責任!ワープアは自己責任!!
なんてさ。

まぁまぁ言いたいことは良くわかるんですよね。
多くの人は勝ち組だなんて言われる物を目指して、当人もそれなりに頑張ってきたはず。
でもさ勝った人がいるってことは、必ず負けた人がいるってことをすっかり忘れてしまうのかな。

下と見るか、支えと見るか。

だってそうでしょ?
勝ち組と負け組ってのは何かの基準で比較した結果だもの。
それでもボクは、別に勝ち負けを否定するつもりなんてないわけ。
目標に向かって、それこそ勝つために頑張ることは大切だからね。

ま、話は変わるんだけどさ。
俗にいうワープアって人らだって好き好んで今の生活をしてるってことはないよね。
できりゃいい生活をしたいし、充実した人生を送りたいように思う。

努力が足りなかったのか、運が悪かったのか、ワープアになってしまう人たちがいることも事実。
けれども逆の視点から見てみると、ワープアの人らがいなければ社会は回っていないとも言えるのよね。
働きアリがいなけりゃ女王アリは食えないんだからさ。

こんな話があるんだよね。
アメリカ人の肥満調査をしてみたところ、所得が下がるほど肥満率が上がっているらしいよ。

えーなんでー?って思うよね。
けどさ色んな食べ物の中で安さを追求すると、炭水化物が圧倒的に安上がりなんだってさ。
要はお砂糖と同じ区分で、たとえば小麦やお米なんかの穀物類のイメージでいいと思う。

小麦だったらパスタやピザ、パンなど色んなものに加工されているよね。
よく言われるジャンクフードってのは、炭水化物の化け物だなんて揶揄すらされるってね。
安くて満足度が高いならば、どうしても手が伸びてしまうよ。

時短、手軽、安価。

けれどそうした物って、多くは高カロリー高脂肪で味が濃くてさ、決して健康的な食事とは言いがたいじゃん。
たまに食って満足するんならいいけれどさ。
そうした安さに注目して、それしか食べない生活ともなれば、そりゃ体のあちこちに色々と出てくるよ。

日本で考えると、お米や麺類ってのはかなり安い部類だよね。
野菜や肉と比べると、だいぶカロリーあたりの価格は安いね。
カップラーメンを食べて、残り汁にご飯を投入してさ……もう禁忌レベルなのに抗えない……怖いぜ。

ところでワープアの人らってさ、やっぱりお金が無いんですよ。
お偉いさんたちは「健康的な意識が乏しい」だなんていうけれど、そうじゃない。
安い食べ物を常食するって選択肢が、金の無い人にとって有効すぎるんだよね。

「明日がどうなるかわからない。
今日を生き延びるのに精いっぱい。」

刹那的に生きることってたいへんだよ。

安くて満足度の高いドカ飯を食って、安酒飲んでタバコふかして寝て起きて。
朝が来ればまた奴隷労働とも言える生活の繰り返し。

働けど働けど……。

はっきり言って過酷な生活だと思う。
もちろん自己責任でそうした生活になったという意見もよくわかる。

だけどさちょっとだけイメージを膨らませてみて欲しいんだよね。

どこかの戦地で駐在している兵士がさ。

「明日がどうなるかわからない。
今日を生き延びるのに精いっぱい。
稀に敵軍からの銃弾に倒れる人もいる。
自分が負傷する可能性もある。」

と語ったら多くの人は、たいへんな仕事だけどお国のために頑張ってください。って言うんじゃない?

ワープアの人たちの精神状態ってのは従軍兵士と似た部分があると思うのよね。
もちろん戦争と違って期間はワープアのほうが圧倒的に長いさ。

つまり、ある意味で命の危険性を帯びている生活を十年二十年と続けているワープア。
そんな生活を続けりゃ精神的に病む人も出てくるさ。
それって兵士が戦地で起こるそれと、ちょっと似ているかもしれないよね。

食生活はお察しのとおり。
炭水化物と塩分の過剰な食生活が続けば、もちろん生活習慣病っていわれる病気のリスクは跳ね上がってしまうよね。
糖尿病だったり高血圧だったりさ。
タバコで呼吸器疾患になる人も、深酒で肝臓をヤッちまう人もいるよね。

糖尿病って怖いよね。
神経のトラブルだけじゃなくて、全身の血管にダメージが出てしまうってさ。
足・腎臓・目の血管はとくに出やすいって話だ。

車椅子生活になってしまう方、人工透析が必要な方、失明してしまう方……大きな障害よね。
もちろん心臓や脳の血管でぽっくり逝ってしまう方もいるはずさ。

ワープアは自己責任、負け組は自己責任、貧困は自己責任。
そのとおりでいいと思う。
努力して成功した人間がそうしたネガティブで攻撃的な言葉を放つことで救われるなら、それはそれでいいことかもしれないね。

その努力、自分だけがしたと思っていませんか?

でもさ、負け組が社会の維持に必要ならばですよ。
「国の最底辺っていう戦場で前線を持ちこたえている兵士」と言い換えることもできるんじゃない?

暴力や粗暴さ、暴言なんかを擁護するつもりは一切ないけどさ。
生きるか死ぬかの生活が続けば、誰しも心は荒んでくるんじゃないの。
中にはDQNになる奴も、犯罪行為を働く奴も出てきたって不思議はない。

今のご時世、ドンパチで直接的な命の危機を認識させるなんてのは時代遅れだと思う。
やっぱり戦争なんて無いに越したことないじゃん。
でもドンパチが無いだけで、国内には命の危機を抱えながら生きている人たちも大勢いるってことさ。

それはもちろん、老若男女問わず。

だからボクはこう思う。
長年そうした最底辺の前線を支えた結果、障害を負ったりドロップアウトした人たちを叩く意味なんてどこにあるんだろうと。
戦地で負傷して障害を負った兵士と似たような尊敬の念を持ってもいいんじゃなかろうかと。

もちろん医療費云々の問題があることはわかっているよ。
もし長期的にそうした人たちの医療費を抑制したいと願うならば、若いうちから健康的な食糧を提供する方法もあるんじゃないかな。

単に健康を意識しなさい!って啓蒙や教育をしたってさ、根本を違えてるならあんまり意味はないよね。

残念なことに、どれだけ願ったところで社会構造上、負け組やワープアをゼロにすることはできないとも思う。
それでも必要なことって認識さえあれば、もっと色々な福祉制度や病気の予防、政策などにも活きてくるんじゃない?
もっと言えば、多くの人が他人の立場に立って丁寧に接することだってできるようになるよ。

自己責任!!と放言はいいけど、その先。
じゃあどうすれば?って所までみんなの意識を向けてさ。
もっと世の中に多くの笑顔を咲かせていきたいよね。

ワーキングプアの方々がいて成り立つ社会構造。この構造自体を変えることがもちろん最重要課題ですが、あまりにも困難かつ長い期間がかかります。それよりもまずは自分たちの身近なところからはじめてみませんか。

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