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人間なんて、そりゃ多くの人は環境の大きな変化を望むわけもなくてさ。
そんなの動物として考えりゃ当然だよね。
有史を見たって恐竜が気候変動で絶滅しただの、島が噴火で消え去っただの、なるべくなら環境は変わってほしくないもんだ。
でも見方を変えれば、気温の変化に強かった哺乳類が生き残って、消えた島は新たな魚たちのパラダイスともなったわけ。
私たち人間の寿命なんて80年やそこら。
別にそこまで大きな環境変化はまぁ起こらないと考えてもいいよね。
それでも、一人ひとりの人生って単位で見たら、実は環境変化って凄く目の当たりにするってね。
往々にして当人にとってはあまり好ましくない変化が多いと思う。
誰しもが安定した仕事をして、先行きが見通せる収入のもとで人生設計をするのは当たり前のこと。
ところが不運にも会社が倒産し、まったく新しい業種に挑戦せざるを得ないこともある。
ふと気づかぬところで法律が改正されて、いきなり仕事を失うこともあるよ。
それだけじゃなくて、誰しもが可能性として考えなけりゃいけないこと。
ある日、街中を歩いていたら交通事故に遭ってしまった。
身体がダルいと思っていたら、実は大きな病気に罹っていた。
ま、色々あるよね。
大きな事故や病気をしてしまうと、大抵の場合は環境が大きく変わってしまうんだよね。
それは仕事だけじゃなくて日々の生活や人間関係も含めてさ。
今まで当たり前にできていたことができなくなる。
今まで当たり前の考え方ができなくなる。
どんどん身体や頭の不具合を自覚してくるとさ、これはやっぱり悲しいことって思うよ。
もし機能が回復して元の生活を取り戻せるならば、リハビリ等を前向きに行うことも一つの目標となるよね。
でも、もし一方通行で衰える一方だとしたらどう考える?
健康だったころの自分、若かったころの自分を思い返して、今の自分のみじめさを誰かに共感してもらいたい?
たまには話のネタとしていいかもしれないけど、昨今の情報社会ではだいたい下らない輩に絡まれて気分を害するかもね。
やれ弱者マウントだ、障害マウントだ、病気マウントだ……まさに下らない。
きっとみんな疲れてるんだよね。
自分と他人を比較して、どんなことでもいいから優越感を得たいのかもしれないね。
飲んでる薬の量で勝ったから何さ。
病気がより重いから何さ。
その勝負に勝ったら病気が治る勝負ってんならどんどんやればいいさ。
でも治らんでしょ?そんなんで治るなら病気じゃないよ。
だから下らない争いで他人と競う必要なんざどこにもないってね。
だからこそ私は「不謹慎のすゝめ」を伝えたい。
まず最初の一歩として、できることがどんどん損なわれていく自分をどう考えるか。
みじめだと思って悲観するのも良し、それでもまだできることが残っていると考えるのも良し。
私はパワー系の人生にも関わらず筋力を失うってネタ的な病気を患ってしまったのだ。
そんでステロイド薬を飲んで治療を続けちゃいるけど、正直なところ労務不能で生きるにも精いっぱい。
悲しい話だ。
それでもさステロイドを続けてさ。
「いつか再びリング(or土俵)に戻れる日を夢見ています!」
なんて言ってみなよ。
超ドン引きされる。
筋肉増強剤のステロイドとはちっと違うってのは当たり前だけど、一般的にはステロイドつったらムキムキのイメージでしょ。
だから再び戦えるように!!ってのがネタとして光るわけですよ。
マジでドン引きされる。だからこそいい。
まぁそんなこんなの生活で期せずして障害者となった私ですが、悲観はあんまりないんだよね。
だって今までに出会えなかった面白いことや楽しいことが見つけられるようになったからさ。
たとえば自治体からお歳暮的な何かで、障害者にお米を頂けるんだってさ。
超嬉しいじゃん。
でもお米だけそんなにあってもなぁ……よし、それじゃあ自分で料理をしてみよう!!!
今までの人生でお米すら炊いたことはないよ。
でも色々と頭で想像をして、実際にやってみるのみだ。
そしたらさ、意外なことにパエリヤやピラフあたりの米料理。
凄く美味しくできちゃってさ。
それだけじゃお米が消費できないんで、生米から米粉をこさえてデザートや別の料理にも挑戦中!
障害者になったからこそ頂けるお米でこれだけ楽しい。
こりゃラッキーじゃないかな。
楽しんだもん勝ちですよ。
あれ?よくよく考えてみると、病気をせずとも老化で身体って弱っていくんじゃない?
人間誰だって、年を取れば身体も頭も鈍ってくるじゃないの。
若いころのようにハキハキと動くことも、集中して考えることもできなくなって当たり前よ。
老化に抗うために、村の若い女性の血を吸う?アスリートの心臓を移植する?
そんなんやめなさいって。
生き物である以上、必ず老化はセットであるもの。
ごくごく当たり前のこと。
その事実を否定したって何もいいことなんてありゃしないよ。
それならば、その日その時その場所でできる限りの楽しいことを見つけたほうが幸せだと思うんですよ。
健康な人が言う「不謹慎だ!」なんて声は無視していいじゃん。
当事者が自虐的に言ってるわけでもなく、ごく当たり前の自然現象を冷静に捉えてるだけなんだからさ。
歳とっても延々と昔のことをウダウダと話続けるような野暮ったい人生がお望みかな。
私は昔ばなしなんてのはお笑いネタだけに留めておきたいよ。
だって誰にでもあるようなつまらん話で武勇伝を語るのはイタいでしょ。
不謹慎ネタをタネに今を生きる力に変える。
それが変わっていく自分を、時代を、乗りこなすひとつのライフハックなんじゃないかな。
病気、ケガ、障害、老化。多くのことができなくなると、できることがはっきり鮮明に見えるようになります。そこが人生何度目かのスタート地点です。
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